選ぶこと、選ばされること

カテゴリー
人生

令和元年11月30日

 

私たちの人生は、常に「あれかこれか」のいずれかを選ばねばなりません。つまり、二者択一にしゃたくいつせまられながら生きているということです。

いずれかを選ぶというということは、いずれかをてるということです。いずれかを捨てて、いずれかを選ぶということです。そして、いずれを選ぶかによって人生は大きく変わります。いずれをも得ることはできません。しかし、私たちは何かを捨てることによって、自分が望むものを手に入れることができるのです。

ところが、人生には自分が選ぶと同時に、大きな力によって選ばされることもあるのです。

私は仕事上、奈良や京都にはたびたび出向きましたが、ほかの観光地も外国もほとんど知りません。三年前に退職した折には隠遁いんとん生活にあこがれ、残りの人生を〝遊んで〟暮らしたいと思ったものです。退職金と年金と印税で、何とかなるだろうと思ったからです。そして、たまには知らない所へ旅行することを夢みたものでした。これは本当のことです。

しかし、結局は叶わぬ夢となりました。その夢を捨てて、私は新しい寺を建立することを決心したからです。寺など建てなければずっと楽でしたが、私の人生には許されませんでした。二者択一は、時に〝運命〟に選ばされることもあるのです。私は自分の意志で決心をしましたが、同時に、その運命によって選ばされたのです。

私たちは自分の意志で生きていることは事実です。しかし同時に、何か大きな力によって動かされていることも事実ではないでしょうか。過去の経験を回想すれば、自分が選んだというより、その大きな力によって選ばされていた事実に思い当たるはずです。自分の意志で選ぶことと、大きな力に選ばされるという同時進行が、いま皆様の身にもおこっています。

山路天酬密教私塾

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