匂ひ起こせよ梅の花

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自然

令和4年3月13日

 

暖かい風を感じるようになりました。まさに、柔らかい〈東風こち〉のおもむきです。そして、道真みちざね公(天神様)の歌がしのばれ、梅が満開となりました。すなわち、

東風(こち)吹かば 匂(にお)ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな

都(京都)から大宰府に流される折の作とされています。「東風が吹いたら大宰府まで匂いを届けておくれ、あるじ(私)がいないからといって、春を忘れてはなりませんよ」という意味です。

道真公は梅が好きだったので、天神社には必ず植えられています。特に紅梅をでて、自分の住居を〈紅梅殿こうばいでん〉まで称しました。現代は花見といえば桜ですが、平安時代までは梅だったのです。清少納言せいしょうなごんの『枕草子まくらのそうし』にも、「木の花は濃きも薄きも紅梅」とあるのはそのためかも知れません。

あさか大師の近辺でも、今が梅の満開です。今朝ほどの散策で、農家のみごとな紅梅を見つけました(写真)。まさに、匂いおこせよの真っただ中です。

もちろん、白梅もまた違った趣きがあります。こちらもまた見事というほかはありません(写真)。ともども、心地よい匂いにつつまれ、一日が豊かになりました。

あさか大師には隣りに桜並木がありますが、いずれは私も梅を植えたいと思っています。紅梅、白梅、いずれも、私がいなくなっても匂いをおこしてくれますように。

山路天酬密教私塾

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